写真家 平林克己 - the world through my eyes...

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2009年 12月 16日

職人

引き続き李さんとの仕事

李さんは、この家の設計をした際、家主さんとのお互いが納得するまでの打ち合わせをするために、
事務所から1時間以上離れた現場まで何十回も足を運んだそうだ。
彼と一緒に別の現場に行った際、家主さんと李さんが話をしているのを聞いていたのだが、家主さんの
態度から、本当に李さんにとても感謝をしていることが感じられた。
ここまで情熱と誠意をもって仕事をしている李さんを目の当たりにしたら、そういう気持ちが起こるのも
自然なことに思える。

業種こそ違うが、同じなにかを作る者として、彼からはインスパイアされることばかりだ。

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しかし、李さんを含めた本気で格闘している建築家さんたちを取り巻く状況はかなり厳しいと聞く。
不況もさることながら、家を建てる人たちの間では、図面を左右反転させたりしてコストを下げた、
大量生産型の住宅の方がポピュラーになっている。
予算の面から言って仕方がないのかもしれない。しかし、自分が何十年も毎日生活をする家。
多少コストは上がっても、作り手の魂がこもった家に住みたい、と自分は思う。

最近、うちの事務所の近くでは、ファミレスが立て続けに開店する反面、個人経営の食堂やレストラン
がどんどん店をたたんでいる。どれも、料理人さんが本気でご飯を作ってくれていた店ばかりだ。
そのいくつかでは、自分の誕生日やなにかしらの大切な日のお祝いをさせてもらっていた。
しかし、自分が誕生日に連れて行ってもらいたいと思う店は、この近辺にはもはや存在しない。
ファミレスでお祝いをしてほしいと思う人はいるだろうか?

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消費者の側から、ほんとにいいものを見抜く力がどんどん失われている気がする。
最近、誰も彼もが絶対的な金額の安さだけに目を向けている。

家は住めればいい

車は走ればいい

食べ物は栄養補給できればなんでもいい

一度だけ人生、どうせなら、そんな無味乾燥にいくよりも、ぎゅうぎゅうに詰まった人生を送りたい。

あらゆる本気の職人さんたちが生活しづらい世の中になってしまっている。
このままでは、気がついたら頼もうにも誰も居ない、なんてことにも成りかねない。

建築家さんたち、料理人さんたち、そんな情熱を持った作り手たちが大手を振って歩けるような社会。
そんな社会をめざし、自分も、端くれではあるが、いち職人として目いっぱい今の流れに逆流してやろう


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by katsumihir | 2009-12-16 23:22 | 仕事


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